熊倉正弥『言論統制下の記者』(朝日文庫)
- 作者: 熊倉正弥
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1988/04
- メディア: 文庫
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@古書で購入した貴重な証言の一冊。筆者は元政治部記者。敗戦直後の、あまり知られていない法律の審議、参議院の様子、議場のありようなど、興味深い記述が多かった。
@とくに、「祝祭日」の「祭日」が、つまりは、天皇家=神道の「祭日」っていうこと、をぼくはすっかり忘れていたし、参議院がなぜ「良識の府」なのかというと、つまりは、一院制による体制転覆を恐れた側にとっての「良識」「防波堤」だった、ことを、ぼくは知らなかった。
@間接統治方式をとった占領期では、法案の審議過程には、さまざまな力関係が入りこむ。「取材」という機会を通して、そのプロセスに親近した筆者の観点は、この時期を考える者たちにとって、重要なヒントを与えてくれるように思った。