2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「日本社会論」とは何だったのか

必要あって、中根千枝『タテ社会の人間関係 単一社会の理論』(講談社現代新書 ISBN:4061155059)を読む。理論装置はシンプルだ。人間が集まって、組織を作り上げる。その原理を「場」「資格」という二つに還元したうえで、いずれを・どの程度重視するか、と…

高橋呉郎『週刊誌風雲録』(文春新書 ISBN:4166604864)

1922 「週刊朝日」「サンデー毎日」創刊 1945 「週刊アサヒ芸能新聞」創刊(11、日東新聞発行) 1954 徳間康快、東西芸能出版社設立。「アサヒ芸能新聞」を引き取る 1956 「週刊新潮」創刊(2)。「吉田茂回顧録」「眠狂四郎」で50万部を突破 1957 「週刊女…

坂上弘『優しい碇泊地』(福武書店 ISBN:4828823905)

今は無き文芸誌『海燕』に連載されていた連作中篇(1989-1991)。外国語の教師を企業に派遣するというベンチャーに勤務しながら、将来はMBAをとってやろうと目論んでいる「ぼく」を狂言廻しに、外人教師たちと企業人たちの人間模様が描かれていく。 と書いて…

宝生月並能 3月公演

宝生能楽堂:http://www.hosho.or.jp/nou/2006_03/tsukinami.html 「弓八幡」 「磁石」 「西行桜」 「海人」 宝生能楽堂にて月並能公演。お目当ては最後の「海人」だったが、その前の「西行桜」を観て、不思議な気分にさせられてしまった。要するに、能の素…

政治的プレイヤーとしてのヒロヒト

ところが天皇の側はまったく逆に、朝鮮戦争での米軍の苦境は、ソ連の直接侵略か国内共産主義者の間接侵略による「革命」と「戦争裁判」と天皇制打倒につながるものとみたのである。とすれば、戦争放棄の新憲法のもとにあって、この未曾有の危機を救えるもの…

たちさわぐ偽史たち、あるいは大塚英志『木島日記』『木島日記 乞丐相』(角川文庫)

実在の人物・実際の事件に虚構の皮膜をかぶせ、物語を介して世界を浮かび上がらせていく。文庫版『木島日記』の巻末で、大塚じしんが言っているように、虚構言語としての小説のひとつの可能性は「偽史」にある。そして、「偽史」とは言っても、虚構世界の中…

大嶽秀夫『再軍備とナショナリズム 戦後日本の防衛観』(講談社学術文庫 ISBN:4061597388)

朝鮮戦争が引き金となった西ドイツの再軍備とは、対照的であった。すでに述べたように、西ドイツでは、兵舎に最初の一人が入隊するまで、数年間にわたって、国際的、国内的に深刻な対立を生んだが、それがかえって、諸利害、諸見解の調整の過程となり、長期…

江藤淳『閉された言語空間 占領軍の検閲と戦後日本』(文春文庫 ISBN:4167366088)

占領軍の検閲という「眼に見えない戦争、思想と文化の殲滅戦」――。江藤によれば、四年間にわたるCCDの検閲が一貫して意図したのは、「「邪悪」な日本と日本人の、思考と言語を通じての改造であり、さらに言えば日本を日本ではない国、ないしは一地域に変え、…