2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

フジタ展、その後

@「偽日記」の古谷利裕さんが、フジタの戦争画について、簡潔ながらも 見事な批評を書いておられます(5/24付け)。 技術的な裏付けを踏まえた分析的な議論は、僕がフジタを見たときにうけとってしまった印象に 対する鋭い批判ともなっており、勝手に「勉強…

堀田善衛『奇妙な青春』(集英社文庫)

指導者たちが老人に近い年齢であったことに不思議はなかったが、以前に、実際に運動をやったことのある人々は、すべて、昭和二十年現在で三十五、六歳以上で、事務や走り使い(レポ)などをしてくれる若い人たちは、それこそ本当に若い、十九、二十から二十…

新城郁夫『沖縄文学という企て』(インパクト出版会)

沖縄文学という企て―葛藤する言語・身体・記憶作者: 新城郁夫出版社/メーカー: インパクト出版会発売日: 2003/10メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (9件) を見る 日本文学という閉塞領域に風穴をあけるための役回りなどでは全くない沖縄文…

金井美恵子『ピクニック、その他の短篇』(講談社文芸文庫)

ピクニック、その他の短篇 (講談社文芸文庫)作者: 金井美恵子,堀江敏幸出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/12/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (24件) を見る @世の中には「才能」というものが厳然としてある、ということを…

浅草文学散歩

学生たちと、現地人ガイドの方の案内で「文学散歩」に。 ちょうど三社祭の最中で、ひどく混み合っているのではないかと思ったが、 夕方に突如ふった豪雨のせいか、思ったより人出は少ない感じ。 手慣れたガイドさんのお力で、コンパクトだったが、 とても有…

福井晴敏『亡国のイージス 上下』(講談社文庫)

@書かねばならない原稿や、やらねばならぬ授業準備などがあるのだけれど、 その現実から逃避して、読破。狭い護衛艦が主な舞台だが、 それぞれの場面の細部を描く筆力があるので、どんどんページをめくる手がすすむ。 この作は、面白いかと問われれば、面白…

藤田嗣治展 Leonard FOUJITA

@仕事のために必要で手に取った福井晴敏『亡国のイージス』亡国のイージス 上 (講談社文庫)作者: 福井晴敏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/07/16メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 68回この商品を含むブログ (335件) を見る亡国のイージス 下(講談社文…

熊倉正弥『言論統制下の記者』(朝日文庫)

言論統制下の記者 (朝日文庫)作者: 熊倉正弥出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 1988/04メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る@古書で購入した貴重な証言の一冊。筆者は元政治部記者。敗戦直後の、あまり知られていない…

『日本文学』2006年5月号

『日本文学』2006年5月号が届く。専門外だが、水口幹記氏の「奈良時代の言語政策」は興味深く読んだ。 よく考えてみれば当たり前なのだが、今も昔も、外国語はさまざまな権力を生み出す。水口氏は、「漢語」と「漢音」とは区別されている、という仮説をもと…