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桐野夏生『ジオラマ』(新潮文庫 ISBN:4101306311)

「デットガール」 「六月の花嫁」 「蜘蛛の巣」 「井戸川さんについて」 「捩れた天国」 「黒い犬」 「蛇つかい」 「ジオラマ」 「夜の砂」 日常の中で不意に抱くささやかな悪意を押し広げると、辛辣な物語となる。あんな奴、**になってしまえばいいのに。…

島田雅彦『子どもを救え!』(集英社文庫 ISBN:4087477282)

不意に訪れてしまった休みを有効に使いたいとは思うものの、そうはいっても、何をしていいのかわからず(本当はすべきことはいっぱいあるのだった)、いっぽうでは、やはりどこか周囲の正月気分に影響されていて、思いっきり集中力がなく、怠惰な一日をすご…

奥泉光『ノヴァーリスの引用』 ISBN:4087475816

笠井潔といい、どうして「学生運動」は言葉を連ねさせるのだろうか。 大人になることを忌避する文化は、この世代の表現者のあちこちに顔を出している。 当時私たちの大学にも姿がないわけではなかった、暴力的手段を厭わず革命を志す結社党派との関わりをも…

山崎敬之『テレビアニメ魂』(講談社現代新書 ISBN:4061497898)

こういう証言が真剣に求められ始める、ということは、記憶の整理期であり、どうじに、創作の涸渇期でもある、ということなのでしょう。 「日本のテレビアニメは“動かない”」 業務提携のために来日したディズニーのスタッフが、わが国のアニメーションについ…

東浩紀『郵便的不安たち#』(朝日文庫 ISBN:4022613785)

こういう読み方をすると、東氏の嫌う、いかにも「日本的な」読みなのだろうけれど、本書のタイトルにもなっている「郵便的不安たち」という講演は、やはり恥ずかしい。最初の書物を発表したあとの高揚感に貫かれているのはよいとして、ようするに自分は浅田…

筒井康隆『ロートレック荘事件』(新潮文庫 ISBN:4101171335)

よくよく考えるとやはり嘘くさいのだが、考え抜かれていることは確か。谷崎潤一郎「私」(1921)と並べて論じたい。

ササキバラ・ゴウ『〈美少女〉の現代史』(講談社現代新書 ISBN:4061497189)

徹底的な啓蒙=教育の意志に貫かれつつ、しかも明確な政治性を主張する。『風俗小説論』の中村光夫のような。